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●財政とは、国がその任務のために必要とされる財貨を入手し、管理し、使用する作用をいう。


【1】財政民主主義

財政の処理権限は行政権(内閣)にあっても、その権限は国民の代表機関である国会が監督するという基本原則。
別名、財政立憲主義、財政国会中心主義
         △
第83条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。



【1-1】支出の面での具体化

第85条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。


■国費の支出
国の各般の需要を充たすための現金の支払(財政法2条)

  • 国会の議決…
  • 法律ではなく予算の形式でされる。ただし、この承認は、政府に特定の行為をする権能や義務を課すものではない
  • 唯一の例外…
  • 予備費(予見し難い予算の不足に充てるための支出)
    これは、使途が不明確なままでも予算に計上して議決を受けることができる。
    ただし、予備費を設けることに承認しても、その支出については、事後的に国会の承認が必要→内閣に責任がなくなる。

    第87条
    1 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
    2 すべて予備費の支出については、内閣は、事後国会の承諾を得なければならない。


    ■国庫債務の負担行為

  • 議決の形式…
  • 法律の形式 国が財政上の目的で負担する債務(財政公債)で、その償還が会計年度以降にまでわたるもの(固定公債、長期公債)
    予算の形式 @流動公債(短期公債)…当該年度内に債務の弁済がされるもの ex.一時借入金(財政7条3項)
    A国庫債務負担行為…法律に基づくのものでなく、次年度以降に継続するものであって継続費の範囲に属しないもの(財政15条5項)


    ■公の支出又は利用の制限

    第89条
    公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。


  • 宗教条の組織・団体への支出の禁止…20条の信教の自由の面からも、許されない
  • 慈善・教育・博愛事業に対する支出の禁止

    「公の支配」の意義とは
    厳格説…事業の予算や人事等について重要な点で監督・関与していること
    緩和説…事業について一定の範囲で監督・関与していること

    「公の支配」の趣旨とは
    自主性確保説…援助により、公権力が干渉する危険を除く趣旨である→厳格説
    公費濫用防止説…援助の不当利用を防止する趣旨である→緩和説



  • 【1-2】収入の面での具体化―租税法律主義

    租税の新設、変更には、その旨の法律や法律の条件の定めがなければならないという原則。
    実体的要件だけでなく、手続も国会の制定する法律によることを必要とする。
             △
    第84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。


    ●「法律の定める条件」によってされたと考えられるもの
    *地方税についての条例
    *関税率についての政令への委任
    *関税について条約による協定があるときは、協定に従う旨

    ●租税特別措置
    ある政策上の目的で、一定の企業や国民に対し、租税の軽減や免除を行うという特別扱いを認める措置
      →合理的な理由がある場合の、差別扱いの許容

    ●通達課税
    法律の解釈を、省庁の長官が「通達」によって統一することを「通達関税」という。
    【判例】 通達の内容が正しい解釈に合致するものである以上、法の根拠に基づく処分と解することを妨げない(S33.3.28)



    【2】予算

    予算とは、一会計年度における国の財政行為の準則であり、国会の議決を経て定立される国法の一形式である。
      →予算とは、国法の形式の一つであるので、法規範としての性質を持つ。
      →財政の民主化の要請から、行政権のみならず、国会の関与を必要とする。


    ●予算の内容
    歳入・歳出予算、継続費、繰越明許費、国庫債務負担行為

    第88条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。



    ●予算の種類等
    *継続費 工事、製造その他の事業で、その完成に数年度を要するものについて、特に必要がある場合においては、経費の総額及び年割額を定め、 予め国会の議決を経て、その議決するところに従い、数年度にわたつて支出することができる費用。
      →予算の有効期限が一会計年度(4月1日〜翌年3月1日)であることの例外にあたる。
    *予備費【1】参照
    *補正予算 「追加予算」…法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた 経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合の予算(財政29条1号)
    「暫定予算」…予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合の予算(財政29条2号)
    補正予算の手続→第29条  内閣は、(中略)予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。


    ●予算の成立手続
    @発案… 内閣が閣議決定を経て作成し、、内閣総理大臣によって国会に提出される。
    第86条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
    第72条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告(中略)する。
    第73条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
            (中略)
          D 予算を作成して国会に提出すること。
            (後略)

    A国会の審議…予算は先に衆議院に予算委員会に付議され、審議を経た後参議院本会議に付された後、参議院に送付される。

    衆議院の優越
    第60条1項 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。


    【予算修正の動議】
    衆議院では、50人以上、参議院では20人以上の賛成が必要。
    増額修正もしくは、増額を伴う法律案の修正動議を議題をする場合…上記+内閣に違憲を述べる機会を与えなければならない(国会57条の2、3)

    B国会の議決… 予算は、衆議院の議決によって成立する。

    衆議院の優越
    第60条2項 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、 両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、 国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、議院の議決を国会の議決とする。

    B配賦および報告… 予算が成立したときは、内閣は、国会の議決したところに従い、各省各庁の長に対し、その執行の責に任ずべき歳入歳出予算、 継続費及び国庫債務負担行為を配賦する(財政31条1項)。

    内閣の報告については、【5】参照



    【3】決算の審査

    決算とは、一会計年度の現実の国の収入支出の総合的な計数であり、予算の執行の実績を示すもの

    第90条
    1 
    国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、 これを国会に提出しなければならない。
    2 
    会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

    ●決算の手続
    @ 財務大臣が、歳入歳出の決算を作成し、閣議の決定により成立
    A内閣は、歳入歳出決算に、歳入決算明細書、各省各庁の歳出決算報告書、継続費決算報告書、国の債務に関する計算書を添附して、 これを翌年度の11月30日までに会計検査院に送付
    B会計検査院が検査
    C会計検査院が、検査報告とともに国会に提出
    D国会による審査、決議



    【4】内閣の報告

    第91条
    内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。


    ●財産法による拡大
    @内閣は、予算が成立したときは、直ちに予算、前前年度の歳入歳出決算並びに公債、借入金及び国有財産の 現在高その他財政に関する一般の事項について、印刷物、講演その他適当な方法で国民に報告しなければならない(財産46条1項)。
    →国会への報告は示されていない
    A 内閣は、少くとも毎四半期ごとに、予算使用の状況、国庫の状況その他財政の状況について、 国会及び国民に報告しなければならない(同2項)。


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