*司法書士試験の過去問題(民法T―総則)*
平成16年の問題

第4問
次の対話は、権利能力なき社団であるA団体に関する教授と学制との間の対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、 判例の趣旨に照らし正しいものの組み合わせは、後記1から5までのうちどれか。
教授: A団体の代表者がA団体の創立10周年記念大会の開催費用に充てるために、A団体を代表して銀行から500万円借り入れました。 A団体がその返済をできなくなったときは、代表者や構成員に借入金の支払義務がありますか。
学生: ア A団体には法人格がないことから、債権者を保護する必要があり、代表者と構成員は、いずれも支払い義務を負うことになります。
教授: A団体の構成員は、A団体を脱退するにあたって、自己の持分相当の財産を分割して払い戻すように請求することができますか。
学生: イ 権利能力なき社団の構成員には、財産の分割請求は認められません。ただし、構成員の間で特段の合意をしている場合には、財産の分割請求も 認められます。
教授: A団体の構成員の資格要件に関する規則を構成員の多数決で改定した場合には、承諾していない構成員も、これに拘束されますか。
学生: ウ 構成員が意思に反してその地位を奪われることはありませんから、承諾していない構成員のうち、資格要件を改めたことにより 構成員の地位を奪われることになる者は、その決議に拘束されることはありません。
教授構成員が死亡した場合には、その相続人が当然にその地位を承継して構成員になる旨を、 A団体の規則で定めることは可能ですか。
学生: エ 権利能力なき社団では、構成員の死亡は社団からの当然脱退事由となりますから、A団体がそのような規則を定めることはできません。
教授: A団体が、法人格を取得した場合において、法人格の取得以前から占有を続けていた不動産について取得時効を主張するときは、 いつの時点が占有開始時期となりますか。
学生: オ A団体は、占有開始時期として、法人格の取得以前にA団体が占有を開始した時点と法人格を取得した時点とを選択して主張することができます。

  1 アウ   2 アオ   3 イエ   4 イオ   5 ウエ

  解答はこちら⇒「正解は「4」です


第5問
Aは、Bを利用して、Cとの売買契約を締結し、甲不動産を取得しようとしている。この事例に関する次のアからオまでの記述のうち、 BがAの代理人である場合についての記述として正しいものとBがAの使者である場合についての記述として正しいものとを組み合わせは、 後記表の1から5までのうちどれか。
Bが、Cに対し、売買の目的物を誤まってCの所有する乙不動産と表示してしまい、その表示内容による売買契約が締結された場合において、 誤まった表示をしたことにつきAに重過失があるときは、Aは、乙不動産の代金支払義務を免れることはできない。
Cが甲不動産の所有権を有しない場合において、Aは、Cが甲不動産の所有者であるものと誤信し、かつ誤信したことにつき無過失であったが、Bは、 Cが甲不動産の所有者でないことにつき悪意であったときは、Aは、甲不動産を即時取得することができない。
甲不動産の購入に際し、Bには意思能力がある必要はないが、Aには行為能力がある必要がある。
Aは、Bに対し、売買代金額に関する決定権限を付与することができる。
Aの許諾がない場合には、Bは、やむを得ない事由がない限り、その任務を他の者に委ねることができない。

  
代理人である場合
使者である場合

  解答はこちら⇒「正解は「2」です

第6問
次の対話は、無効および取消しに関する学生の対話である。次の(ア)から(オ)までの下線部分の発言のうち、判例の趣旨に照らし 正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
学生A: ある法律行為の効力が否定される場合として、「無効」と「取消し」とがある。「無効」であり法律行為は、その効果が当初から生じないから、 既に給付をした場合には、相手方に対して不当利得返還請求をすることができる。これに対して、(ア)「取消し」が可能な法律行為は、 取消されない限り、一応有効とされるから、取消されるまでは不当利得返還請求権は発生しない。ここに違いがあることになる。
学生B: (イ)「無効」は、永久に主張することができるけれど、「取消し」は、行為の時から5年が経過すると主張することができなくなる という点も違うね。
学生A: 「無効」と「取消し」を主張することができる者の範囲は、どうかな。
学生B: 「取消し」が可能な法律行為は、取消権者によってのみ取消すことができるので、だれからでも「取消し」を主張することができるものではないよ。 これに対して、「無効」である法律行為は、何人の主張も待たず、絶対的に効力のないものと扱われるから、(ウ)「無効」を主張することができる ものや「無効」を主張することができる相手方が限定される場合はないよ。
学生A: ところで、「取消し」が可能な法律行為については、民法は、追認によってはじめから有効であったものとみなすとしているよね。 「無効」である法律行為についても、「無効」であることを知って追認した場合には、初めから有効であったものとみなされるのだったかな。
学生B: (エ)無効である法律行為を追認した場合には、新たな行為をしたものとみなされ、初めから有効であったとされることはないのが原則だが、 無権代理行為を追認したときは、初めから有効であったものとみなされるよ。
学生A: 取消権者が、義務を履行した場合には、相手方は、その法律行為はもはや取消されないものと考えるだろうから、その信頼を保護する必要があるよね。
学生B: その場合には、追認したものとみなされて、取消すことができなくなるよ。ただ、相手方が信頼を抱くのは、 取消権者が積極的な行為をした場合に限られるから、(オ)相手方が履行をして取消権者がこれを受領しても、それだけでは追認とはみなされないよ。

  1 (ア)(エ)   2 (ア)(オ)   3 (イ)(ウ)   4 (イ)(オ)   5 (ウ)(エ)

  解答はこちら⇒「正解は「1」です

第7問
消滅時効に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤まっているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
期限の定めのない貸金債権の消滅時効は、金銭消費貸借が成立したときから進行する。
債務不履行によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時から進行する。
契約の解除による現状回復請求権は、解除によって新たに発生するものであるから、その消滅時効は、解除の時から進行する。
割賦払債務について、債務者が割賦金の支払を怠ったときは、債権者の請求により直ちに残債務全額を弁済すべき旨の約定がある場合には、 残債務全額についての消滅時効は、債務者が割賦金の支払を怠ったときから進行する。
債権者不確知を原因とする弁済供託をした場合には、供託者が供託金取戻請求権を行使する法律上の障害は、供託の時から存在しないから、 その消滅時効は、供託の時から進行する。

  1 アイ   2 アエ   3 イウ   4 ウオ   5 エオ

  解答はこちら⇒「正解は「5」です


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