2.所有権の取得

1 所有権の取得原因

所有権の取得原因は、大きく分けて2種類ある。

承継取得
【物権変動総説の単元より抜粋】他人の物権がその同一性を保ったまま移転するのを承継取得という。 よって、前主が負担した権利や瑕疵を、後主はそのまま承継することになる。
特定承継売買のように、特定の物権を個別的に承継
包括承継相続のように、前主(被相続人)の権利・義務が後主(相続人)に移転


原始取得
【物権変動総説の単元より抜粋】前主の権利に基づかないで全く新しく物権を取得するのを原始取得という。よって、前主の権利は消滅する。
無主物先占物の所有者が存在しない場合や不明な場合に、所有者を決定する。
民法上、「占有権の効力」の節に置かれている195条(動物の占有による権利の取得)もこれに含まれると解される
遺失物拾得
埋蔵物発見
添付所有者の異なる複数の物が結合し、分離が困難になった場合に、所有者を決定する。 付合、混和、加工の3種類がある。
即時取得や時効取得も、原始取得であると解されている。
――――図解・判例・条文等――――

*【参考】物権変動の種類と原因*


2 無主物先占・遺失物拾得・埋蔵物発見等

無主物先占
無主の動産を、所有の意思をもって占有すると、その所有権は占有者が獲得する(239条1項)。
無主の不動産は、国家に帰属する(239条2項)。

遺失物拾得
遺失物は、遺失物法の定めるところに従い、公告をした後6ヶ月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者が所有権を取得する(240条)。
遺失物とは、占有者の意思によらずに所持を離れた物で、盗品ではない物(なお遺失物法11条)
民法の特別法である遺失物法に詳細が書かれている


埋蔵物発見
埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従い、公告をした後6ヶ月以内にその所有者が判明しないときは、これを発見した者が所有権を取得する(241条)。
ただし、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物については、これを発見した者及びその他人が等しい割合でその所有権を取得する(同但書)。

家畜外動物の取得
家畜以外の動物で他人が飼育していたものを占有する者は、その占有の開始の時に善意であり、かつ、 その動物が飼主の占有を離れた時から1ヶ月以内に飼主から回復の請求を受けなかったときは、その動物について行使する権利を取得する(195条)。
占有権の効力の節にあるが、これも所有権の取得原因である。
九官鳥は、野生動物ではないのは社会通念上明らかであり、家畜であり、195条の適用はない(S7.2.16)


3 添付

添付には、3種類があるが、その効果は、以下のとおりである。
@所有権者が、所有権を失う
A所有権を失う者は、所有権取得者に不当利得の規定に従い償金請求権を持つ。
B消滅する物の所有権に付着していた第三者の権利が消滅する(=原始取得)


3-1 付合

不動産の付合
不動産に動産が付合した場合である。
原則;不動産の所有者が、その物の所有権を取得する
例外;権原に基づく場合は、不動産に付合しない(=所有権を留保できる)
ただし、@付合物が独立性を有しなければならなず、A原則として公示が必要

◆建物の賃借人が、賃貸人の承諾を得て増築した場合、増築部分は建物に付合するか。
原則は、不動産に附合するはずだが、権原(賃借権があり、賃貸人の許可も得ている)に基づいているので、242条但書きが適用される可能性はある。
独立性の観点… 建物としての独立性は、@経済上の効用、A壁等による遮断性、B独立した出入り口の存在等の要素から判断される
これらの要件がそろい、増築部分が独立性を有していると判断されれば、増築部分は不動産に付合せず、区分所有権が成立する。
第三者に、増築部分の区分所有を対抗するためには、区分所有権の登記が必要である。
昭和43年11月29日「建物収去土地明渡請求」事件(クリックで、裁判所のページが表示されます)


◆建築中の建物に第三者が工事をして完成させた場合の所有権の帰属
独立の不動産となる前は、独立の「動産」であり、工作の価値を加味すれば、246条の加工の規定が適用されるべきである(判例)。
昭和53年4月14日「家屋明渡」事件(クリックで、裁判所のページが表示されます)


動産の付合
動産が付合する要件
  @付合により、損傷しなければ分離することができなくなったとき、または
  A分離するのに過分の費用を要するとき

動産が付合した場合の所有権の帰属
  *主従の区別がつく場合は、主たる動産の所有者
  *主従がつかない場合は、各所有者は、付合時の価格の割合に応じて合成物を共有


3-2 混和

米などの固体が混ざる場合を混合といい、水などの液体が混ざる場合を融和という。
これらには、動産の付合の規定が準用される。


3-3 加工

他人の動産に工作を加え、新たな物をつくりだすことを加工という。
所有権の帰属は以下のとおり。
原則;材料の所有者が加工物の所有権を取得
例外;以下の場合は、加工者が加工物の所有権を取得
@工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるとき
A加工者が材料の一部を供したときは、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるとき











242条(不動産の付合)
不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。 ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。



















243条(動産の付合)
所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、 その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属する。分離するのに過分の費用を要するときも、同様とする。

244条
付合した動産について主従の区別をすることができないときは、 各動産の所有者は、その付合の時における価格の割合に応じてその合成物を共有する。

245条(混和)
前二条の規定は、所有者を異にする物が混和して識別することができなくなった場合について準用する。

246条(加工)
他人の動産に工作を加えた者(以下この条において「加工者」という。)があるときは、 その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する。ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、 加工者がその加工物の所有権を取得する。
前項に規定する場合において、加工者が材料の一部を供したときは、 その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときに限り、加工者がその加工物の所有権を取得する。


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