1.無効

1 無効とは

ある原因によって、法律行為の効力が最初から生じなていないことを無効という。
無効とされた行為については、履行請求はできず、受領したものがあるときは、不当利得 として返還しなければならない(703条〜)
しかし、例外的に90条の公序良俗違反の行為については、給付の返還請求は認められない(708条)

無効の性質
追認をすることができない無効を確定的無効といい、 有効要件を満たせば有効となりうる無効を未確定無効という
誰でも全ての人に無効を主張できる無効を絶対的無効といい、 第三者との関係などで無効の主張が制限される無効を相対的無効という。
裁判上の手続を踏まなくても主張が認められる無効を当然無効といい、 裁判上の手続について制限のある無効を裁判上無効という。


一部無効
法律行為の内容の一部が無効である場合を一部無効という。明文でこれを認めているもの(604条、278条など)もあるが、 明文になくても、一部無効を認めることができる。
なお、残余部分については、残余部分が無効部分と密接に関わりあっている場合は、無効となるとされる。
借金を芸娼妓による稼動で返済する契約において、芸娼妓契約の無効は、借金契約の無効をもたらす(S30.10.7)


2 他人物売買の追認

ある物件につき、なんら権利を有しない者が、これを自己の権利に属するものとして処分した場合において、真実の権利者が後日これを追認したときは、 無権代理行為の追認に関する116条の類推適用により、処分の解きに遡って効力を生じる(S37.8.10)


他人物売買は、もとから債権的には有効であるので、 追認によって無効であった物権的な効力が有効となる(所有権が移転する)ということである。 なお、無権代理行為の追認は、債権的行為も本人に帰属する点で違う



3 無効行為の転換

ある無効行為が、他の法律行為の要件を満たしているときに、その他の法律行為として有効とされる場合を無効行為の転換という。


本来の行為(無効)
転換行為
効力
秘密証書遺言自筆証書遺言有効(971条>)
非嫡出子を嫡出子として届出認知届有効(判例)
非嫡出子を他人の嫡出子として届出養子縁組無効(判例)
地上権設定契約賃貸借契約有効
養子縁組のような要式行為(きちんとした手続を踏む必要がある法律行為)については、無効行為の転換は認められない


4 無効と取消の差異

以下の表は、無効(当然無効)と、取消の典型的な差異である。上記にも述べているが、無権代理行為や他人物売買、錯誤などの無効については 妥当しない。
無効
取消
公序良俗違反(90条)
具体例
制限行為能力者の行為
最初から生じない
効力
取消権の行使で遡及的に無効
誰でも誰に対しても主張可
主張の当事者
一定の取消権者が、法律行為の
相手方に主張可
原則、不可(119条)
追認
なし
消滅時効
あり


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