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1 無権代理の効力 代理人が、顕名を示して代理行為はしたが、それに対応する代理権をもっていなかった場合を無権代理という。 この場合、代理は要件を欠くので、本人に対して効力を生じない。これは、法定代理にも適用される。 なお、顕名すら欠く代理行為は、もはや代理ではなく、他人の権利を勝手に取引したということになる。無権代理行為の効力
無権代理行為はまったくの無効というわけではない。本人は、無権代理行為を追認
または追認拒絶をすることができる。追認・追認拒絶の相手については、2項が示している。
追認・追認拒絶の法的性質単独行為であり、無権代理人や相手の同意は不要である。本人は予め追認を拒絶することもできる 単独行為の無権代理
相手方のある単独行為の無権代理は、原則、無効である。
財団法人の設立での寄附行為のような、相手方のいない単独行為の無権代理行為は絶対無効である。 |
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2 無権代理行為の追認 2-1 追認か追認拒絶か確定しない場合 追認や追認拒絶がない場合や、未だ相手方がその意思を受領していない場合は、相手方は、不安定な地位におかれる。 よって、相手方には催告権と取消権が認められる。
取消の意思表示は、本人、相手方どちらにされてもよい。また、取消権を行使すると、117条の無権代理人の責任は
問うことができないとされる。2-1 追認をした場合
無権代理行為の効果を本人が、自分に帰属させる意思表示を追認という。
追認がなされれば、原則として代理行為の時点にさかのぼって、代理行為は有効であったと扱われる。(追認の遡及効・116条)。 追認の方式は問わない。黙示でも明示でもよい。追認の遡及効は、例外的に以下の2つの場面で制限される(116条)。 @別段の意思表示があるとき A第三者の権利を保護する必要があるとき 第三者とは、権利を侵害されるすべての者をいうが、登記や債権譲渡など対抗要件を必要とする
行為については、対抗要件の有無や前後で、権利の優劣が決せられる。2-3 追認を拒絶した場合
本人が追認を拒絶すると、本人に効果が帰属しないことが確定する。このとき、相手方が無権代理につき善意であれば、
117条により、無権代理人に対し責任を追及できる。 無権代理人の責任の要件
条文から見てわかるとおり、@無権代理人が代理権を証明できなかったこと、A本人の追認が得られなかったこと、
B相手が悪意・有過失でないこと、C無権代理人が制限行為能力者でないこと、(D相手が取消権を行使していないこと)である
無権代理人の責任の免責
相手方が、無権代理行為であることに悪意または有過失の場合は、無権代理人は117条の責任を免れる。
「過失」は、文言通り「過失」であって、重過失に限定されないとしている。 無権代理人が、相手方の悪意・有過失によって免責できるとした規定の趣旨について、判例は、117条1項が無権代理人に無過失責任という重い責任を
負わせたから、としている。表見代理と無権代理の関係
無権代理行為について、後にみる表見代理が成立する場合が問題となる。
【判例】表見代理は、無権代理が成立しないための補充的な制度ではなく、相手方は、表見代理、無権代理のいずれでも選択して主張することができる。 なお、無権代理人は、表見代理の成立を主張して、責任を逃れることはできない。 |
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3 無権代理と相続 3-1 無権代理人が本人を相続した場合
本人が追認するか否かを答えないうちに死亡し、無権代理人が本人の地位を相続した場合、法律関係はどうなるか。
無権代理人が単独相続した場合
★判例(S40.6.18)
「無権代理人が本人を相続し、資格が同一人に帰する場合においては、本人が自ら法律行為をなしたのと同様な法律上の地位を 生じたものと」して、代理行為が当然に有効になるとする(人格承継説) ただし、本人が無権代理行為の追認を拒絶した後に、無権代理人が本人を相続した場合は、無権代理行為が有効になるものではないとしている (H10.7.17) ★学説 判例同様、追認拒絶をすることはできないとするが、その根拠を信義則に求める(信義則説)。 無権代理行為を行った者が追認拒絶をすることは信義則に反する(1条2項)ということであるなお、追認拒絶はでき、あとは無権代理人の責任の問題であるとする学説もある。 3-2 無権代理人が共同相続した場合 ★判例(H5.1.21) 「無権代理人が本人を他の共同相続した場合、共同相続人全員が共同して追認しない限り、無権代理行為が有効となるものではない」 本人の追認権は、共同相続人の全員に不可分的に帰属し、全員で行使する必要があるという前提にたち、無権代理人の相続分相当 についてのみも、当然に有効になるものではないとする。全面無効説(全員の追認拒絶肯定説) ★一部有効説(無権代理人の追認拒絶否定説) 無権代理人以外の共同相続人は追認拒絶できるが、無権代理人は追認拒絶できない。よって、無権代理行為は、 無権代理人の行為の限度で有効となる。 |
3-3 本人が無権代理人を相続した場合 ★判例(S37.4.20) 「本人が追認を拒絶してもなんら信義則には反しないので、本人は追認拒絶できる」 ただし、「無権代理人が117条により相手方に債務を負担している場合、本人は相続により無権代理人の債務を承継するのであり、 本人として無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあるからといって、債務を免れることはできない」(S48.7.3)。 3-3 本人と無権代理人の両方を相続した場合 ★判例 判例は、無権代理人が本人を相続した場合と同様、追認を拒絶できないとする。 ★有力説 本人が無権代理人を相続した場合と同様、追認を拒絶できるとする。 (根拠)無権代理とはまったく関係ない相続人が、無権代理人として追認拒絶できないとするのは妥当ではない
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