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1 代理権の発生原因と範囲 代理人の行為の効果が本人に帰属するための要件として、まず、代理人にその行為に対応する「代理権」があるということが必要になる。 1-1 任意代理 本人の委任による代理の場合、代理権は、本人の代理権授与の意思表示(授権行為)に基づき、代理人に発生する。 代理権授与の方式は問わない。明示または黙示でもよい。 委任状は、代理権の証拠資料に過ぎない。判例も、
委任状の日付が現に委任行為がされた日と一致しなくても委任行為が無効となるわけではないとする。代理権授与の法的性質
★単独行為説
授権行為は、本人による単独行為であり、代理人の承諾は不要である。
(根拠)@民法は代理人の能力は不要としている。A代理権授与により代理人に不利益は生じない。
★無名契約説 授権行為は、当事者(本人と代理人)の合意に基づいてされる、委任に類似した無名契約である。
(根拠)代理人の承諾なく代理権が発生するのは不自然ではないか、という
単独行為説への批判★内部契約(事務処理契約)説 内部契約(委任等)の事務処理契約から直接、代理権は発生する。 (根拠)代理権授与行為に独自性を承認すべき必要性はない。授権行為に瑕疵があり、本人が内部契約を取消した場合
これについては、代理権授与の法的性質での学説にかかわらず、代理権は遡及的に消滅するとされ、
遡及的に無権代理行為となる。第三者も保護されない。 理由付け
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授権行為に瑕疵があり、代理人が内部契約を取消した場合
単独行為説のみが、代理権消滅を否定する。無名契約説と内部契約説では、理由付けが異なるものの、
内部契約は遡及的に消滅し、代理権は将来に向かって消滅するとする。
代理権の範囲は、原則として代理権授与行為に定まる。その範囲に争いがある場合は、委任状の文言や、代理人の地位などを考慮し、
代理権授与行為を解釈する。
理由付け【(主に)無名契約説】第三者の保護のため、代理権の遡及効は否定する。 【(主に)単独行為説】相手方保護のため。 【内部契約説】(根拠)代理人は何らの義務を負わないので、遡及的に代理権を消滅させる必要はない |
1-2 法定代理
法律の規定によって代理権が発生する法定代理の場合、その代理権の範囲は法律で定められている。
主なものは以下の表のとおり。
1-3 代理権の範囲が不明確の場合
代理権の範囲が決められていないまたは不明確の場合、代理人がどこまで代理行為をなすことができるかについては、103条が定めている。
これらの行為は「管理行為」と呼ばれ、処分行為と対比されるが、
場合により、処分することも管理行為に含まれる。管理行為の具体例は以下のとおり。
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2 代理権の特別の制限 2-1 自己契約および双方代理の禁止
これは、本人(双方代理の場合は当事者の一方)の利益が害されるおそれがあるために禁止される。 108条本文に反してされた代理行為は無権代理であり、本人は追認することもできる。 但書にもあるように、本条は任意規定である。 法定代理には、特別代理人の選任等の規定が定められている限りでは108条は適用されない。108条の拡張解釈
形式的には108条本文に該当しない場合でも、真に利益相反行為であれば禁止すべき。
【判例】家主が借家人と賃貸借契約を結ぶ際に、将来紛争が生じた場合は、
借家人の代理人の選任を家主にゆだねるという委任契約を結ぶことは、108条の趣旨に反し無効(S7.6.6)108条の縮小解釈▽ 例外(108条但書き)
ただし、債務の履行については、自己契約・双方代理は認められる。債務の履行とは、履行期の到来した債務を履行することである。 108条但書きの拡張解釈
狭義の履行に属さない行為にも、新たな利害関係を生じない場合は、
108条但書きを拡張して適用すること。判例も、登記の申請や、構成証書の作成、株主の名義書換えなどについて、双方代理を認めている。 |
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2-2 共同代理
同一事項について、、複数の代理人がいる場合であり、全ての代理人が共同して代理権を行使すべき拘束のあるものを共同代理という。 818条3項の、父母が共同して親権の行使をしなければいけないという規定がその例この規定に違反してなされた代理行為は、権限外の無権代理となる。 広義の共同代理は、数人が本人のために代理行為をする場合であり、それぞれ単独で代理をすることができる
ものも含む。復代理人と代理人との関係が、この例である。
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3 代理権の濫用 代理人が、内心では、自己または第三者の利益を図るために、しかし客観的にはきちんとした形式をふんで 本来の権限内の行為をした場合を代理権濫用という。
★93条但書き類推適用説(判例)
相手方が代理人の真意を知り、または知ることができた場合は、本人は無効を主張できる。
(根拠)意思と表示の不一致を知る相手方を保護する必要はない、とする93条但書きと
同視できる。(批判)形式的には、代理人には意思と表示に不一致はない。★信義則説(有力説)
相手方が悪意または重過失ある場合のみ、本人は無効を主張できる。
いづれの説も、代理権の濫用行為が原則有効という前提のもとで、本人の保護のための理論を構成しているが、
結果的には大差はないという指摘もある。110条との関係
93条但書きが類推適用される場合も、相手方は110条の要件を主張・立証して法人の表見代理責任を追及できる(判例)
44条との関係
判例は、法人の代表者が、自己の利益を図る目的で法人を代理した場合も、93条但書きが類推適用されるとする。 【補則】相手は44条1項に基づき法人の不法行為責任を追及できる。
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4 代理権の消滅事由 111条の1項は代理権の ただし、「本人の死亡」については、当事者に特段の合意があった場合や、委任による登記申請の代理であった場合は、代理権は消滅しない。 商行為において、商法に例外規定がある場合も同様である。 なお、本人の破産は、代理権消滅事由とされていないが、委任の終了事由となるので、
任意代理の場合は、結果的に代理権が消滅する。 |
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