6.意思表示の到達時期・受領

1 到達主義

離れた場所にいる者の意思表示が効力を生じるのは、通知が相手に到達したときである。これを到達主義という。 到達とは、社会通念上、意思表示を相手方が了知しうる客観的状態に置くことである。

到達とは
【判例】到達の意義/相手方によって直接受領され又は了知されることを要するものではなく、意思表示または通知を記載した書面が相手方の いわゆる支配圏内に置かれることを持って足りる。
《到達したと認められた事例》
・通知を同居の親族が手にした場合
・通知を内縁の妻が受け取った場合
・会社の代表取締役A宛の通知を、会社に遊びに来たAの娘が手にした場合


意思表示の撤回
意思表示は、発信後、到達までは撤回ができる。これが到達主義の長所である。 では、通知を発信後、表意者が死亡または能力を喪失した場合、通知に記載された意思表示はどうなるか。これは2項にあるとおり、 影響はない。


公示による意思表示
相手が行方不明の場合、到達主義のもとでは、意思表示の効力を生じさせることが困難になる。 そこで、民法は公示による意思表示の到達を用意した。


例外;発信主義
これらについては、債権の契約の承諾に関して発信主義という重要な例外がある。また、制限能力者に対する相手方の催告への確答や、 株主総会の通知なども発信主義である。


97条(隔地者に対する意思表示)
隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生ずる。
隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。




2 受領能力

意思表示を了知しうる能力を受領能力という。
  到達によって意思表示が効力を生じるのは、受領者に受領能力があることを前提にしている。

未成年者や成年被後見人の受領能力は否定されるが、被保佐人・被補助人には肯定される。 ただし、未成年者や成年被後見人に意思表示があったことを法定代理人が知れば、意思表示は到達したときに効力を生じる。

受領能力については、対抗の問題なので、制限行為能力者側から、意思表示の到達を主張することはできるとされる。


98条の2(意思表示の受領能力)
意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。 ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。


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