5.詐欺・強迫

1 詐欺

詐欺・強迫による意思表示は、瑕疵ある意思表示といわれる。以下、個々にみていく。

詐欺の成立要件
人を欺いて錯誤に陥らせる行為を詐欺という。 成立要件は、@欺く行為があったこと、A錯誤に陥らせたこと、B故意があったこと、である。
  ただの沈黙も、告知義務がある場合や信義則によって詐欺となる場合がある


詐欺の効果
詐欺による意思表示は取消すことができる。重過失があっても取消せる。取消した行為は、 はじめから無効であったものとみなされる(121条1項)
しかし、この意思表示の取消は、善意の第三者に対抗できない(3項)。
  3項は、取消の遡及効を制限していると考えられる。


保護される第三者とは
第三者とは、詐欺による意思表示を前提に、新たな独立の法律上の利害関係を作るに至った者であるが、無過失は不要と考えられている。

被詐欺者の取消に利害関係に入った第三者⇒登記は不要
被詐欺者の取消に利害関係に入った第三者⇒登記が必要(判例/177条説)
詳しくは「物権編/物権変動/不動産の物権変動」を参照


なお、2項の第三者詐欺とは、ある人に対する意思表示につき、第三者が詐欺を行った場合である。 相手がその事実を知っていたときのみ、取消すことができる
――――図解・判例・条文等――――
96条(詐欺又は強迫)
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、 相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。
*第三者詐欺*
ボタンをクリックすると図が変わります
第三者詐欺の事例
相手方が善意の場合=取消不可
相手方が悪意の場合=取消可

ただし、Bがさらに善意のDに転売していた場合は、取消不可(3項)


2 強迫

違法な害悪を示して畏怖を生じさせる行為を強迫という。

強迫の成立要件
成立要件は、@害悪の告知、A相手方を畏怖させる故意、B畏怖により相手が意思表示をすること、C不法に意思表示をさせることである。
強迫の程度がきわめて強い場合は、意思無能力として契約は無効となる(判例)


強迫による意思表示の取消し
強迫による意思表示は、取消すことができる。詐欺とは違い、強迫については、第三者の保護規定がない。つまり、取消を善意の第三者に 対しても対抗できる。

しかし、これは強迫による取消前の第三者についてであり、取消後に第三者が表れた場合は、詐欺の場合と同様、対抗要件を備えた第三者は 保護される。
登記の要否は「物権編/物権変動/不動産の物権変動」を参照


民法総則のメニューに戻る |  トップページをここに表示


inserted by FC2 system