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1 所有権の取得時効 法定期間の経過によって権利が取得される制度を取得時効という。 所有権については162条が、所有権以外の権利については163条が、時効取得が成立する要件を示している。 【参照】取得時効と登記については、「物権/物権変動/不動産の物権変動」1-1 所有権の取得時効の要件
所有権の取得時効の要件は、以下のとおりである |
@所有の意思をもって占有すること(自主占有)
被相続人が他主占有であっても、相続人の占有が自主占有となりうる(S46.11.30) 占有者は、所有の意思をもって占有すると推定される(186条1項)ので、
取得時効の成立を争う側が推定をくつがえす必要がある。A「平穏」かつ「公然」
「平穏」は強暴の反対であり、強迫や暴行による占有ではないことである。「公然」は隠避の反対であり、占有を秘匿しないことである。
占有者の占有が、平穏かつ公然であることは推定される(186条1項)ので、取得時効の成立を争う側が推定をくつがえす必要がある。B「他人の物」を占有 占有の客体は、「他人の物」とあるが、自己の物でも時効取得できるとされる(S9.5.28)。 物には動産、不動産が含まれる。 なお、公有道路などの公物については、公共用財産としての形態、機能を全く喪失した場合で、黙示的に公用が廃止されたと認められる場合は、
取得時効の対象となりうるとしている(S51.1224)C20年間または善意・無過失であれば10年間占有を継続する
ここにいう善意とは、ただ他人の物と知らなかったというだけではなく、自己に所有権があることを信じることと解されている。 この善意・無過失は、占有の始めにあればよい(M44.4.7・通説)。 自分の前主が善意・無過失で占有を始めた場合、自分が悪意であっても、10年間の取得時効を主張することができる(S53.3.6) 占有者が占有の目的不動産に抵当権が設定されていることを知り、
または不注意によって知らなかった場合でも、善意・無過失の占有といえる(S43.12.24) 善意は186条1項によって推定されるが、無過失は推定されない(S46.11.11)ので、取得時効を主張する者が主張・立証する必要がある。 |
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1-2 所有権の時効取得の効果 所有権を原始取得することである。抵当権付の土地を時効取得した場合、 抵当権は消滅し、時効取得者は、抵当権者に抵当権設定登記の抹消を請求することができる。 |
2 所有権以外の権利の取得時効 占有を伴う財産権については、所有権と同様、取得時効の対象となる。その要件も所有権についての162条とほぼ同じであるが、 具体的には以下のようになる。 用益物権
担保物権
占有を伴う質権については、取得時効成立の余地があるが、占有を伴わない抵当権や、法定担保物権である留置権や先取特権は認められない。
不動産賃借権
【判例】地上権と同じく、土地の継続的用益という外形的事実が存在し、それが賃借の意思に基づくものであることが客観的に
表現されている場合は、時効取得の対象となりうる(S43.10.8)
賃料の支払は、賃借権に基づく行使の意志の客観的表現として重要な資料となる@他人所有の土地の不法占拠者が、地主に賃料を払い続けた場合 A賃貸借契約に瑕疵があったが、有効と信じて賃料を払い続けた場合(S45.12.15) B他人の所有物の賃貸借であった場合 その他
転借権や知的財産権(著作権・特許権など)も時効取得の対象となるが、取消権や解除権などの形成権は時効取得の対象とはならない。
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3 取得時効の中断の特則 これを自然中断という。中断事由は、164条のとおり、任意の中止もしくは他人に占有を奪われることであるが、 他人に占有を奪われても、1年以内に占有回収の訴えを提起すれば、占有は継続する(物権/占有権を参照)ので、中断しない。 他人に占有をさせることは取得時効の中断事由とはならない。 |
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