5.法人の組織・管理および解散

1 法人の組織・管理

社団法人・財団法人に共通する必須機関は「理事」であり、社団法人は加えて「社員総会」も必須機関である。 また、社団法人は、任意で監事を置くことができる。

1-1 理事

職務執行機関であり、代表機関を理事という。
  「代表」が「代理」と同じ意味かどうかで、学説は分かれるが、代理の意味で使って差し支えない

定款・寄付行為・社員総会の決議に従い、法人のために必要なすべての業務を執行する権限をもつ。 理事は、一人でも、複数でもよいが、職務の性格上、自然人に限られる。


理事の代表権とその制限
理事は、法人を代表する代表権を持っている(53条)。この代表権を制限しても、善意の第三者には対抗できない。
代表権に制限が加えられていることについては悪意だったが、 その制限が解除されたと信じるにつき正当な理由がある相手方は、 110条によって保護される。

第三者は善意であれば足り、無過失までは要求されない(判例・通説)。ただし、重過失であると保護されない

理事が代表権の範囲内でありながら、代表権を濫用した場合は、93条を類推適用する(判例)
  「代理/A代理権/代理権の濫用」参照


理事に関する他の機関
職務代行者(46条3項)
理事の職務執行停止の仮処分に伴い、裁判所が選任する

仮理事(56条)
理事の員数が欠け、かつ、そのことで事務等が遅滞して損害を生じるおそれがあるとき、一定人の請求で、裁判所が選任する。

特別代理人(57条)
理事と法人との間で利益相反行為をする事項については、理事は、代理権をもたず、利害関係人や検察官の請求で、 特別代理人を選任しなければならない(57条)。 に選任しなくてはならない。他に理事がいる場合は、選任しなくてもよい。
――――図解・判例・条文等――――






53条(法人の代表)
理事は、法人のすべての事務について、法人を代表する。 ただし、定款の規定又は寄附行為の趣旨に反することはできず、また、社団法人にあっては総会の決議に従わなければならない。

54条(理事の代理権の制限)
理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

*理事の代表権の制限について*
【事例】ある法人の理事Aは、不動産購入のため、Bと取引をしたが、法人の定款には、「不動産の売買には理事会の承認を必要とする」という制限があった。

この制限をBが知らなかった(善意だった)場合は、、54条に従って、もはや法人は、その取引の無効を主張することはできない。 また、Bがその制限に悪意だったとしても、Aが、理事会が承認した旨の書類を偽造するなどして、その制限が解除されたことを信じさせた場合は、 110条の規定によって、Bは保護される。


1-2 社員総会

社団法人の意思決定機関を社員総会という。必ず置かなければならない。 なお、社員とは、社団法人の構成員である(会社法上の会社でいえば、株主)。
社団法人にせよ会社にせよ雇われている従業員は、社員ではない。 なお、財団法人は財産の集まりであり、社員・構成員がいないので、社員総会という機関はありえない。

●種類 通常総会;理事が毎年招集する(60条)
臨時総会;理事が任意(61条1項)で、 もしくは、総社員の5分の1以上の請求で必要的に開催される(61条2項)
●招集少なくとも5日前には会議の目的事項を記載して発送する(62条)
●決議原則、招集通知に記載した事項のみを決議できる(64条)
表決権は、原則として各社員平等である(65条1項)
原則として、書面投票や代理投票も可能である(65条2項)


1-3 監事

法人を監督する機関。置くか、置かないかは自由であり、人数も制限はない(58条)。
監査機関である監事を、執行機関である理事が兼任することはできないが、 法人と理事との利益相反取引の場合の特別代理人に選任されることは可能であり、 定款や総会などで、予めこのために監事の代表権を定めておくこともできる。

監事の職務については59条で示されているが、これは例示的なものであって、その業務は法人すべてに及ぶ。

ただ、公益法人には、主務官庁の監督があるので、それほど重要ではない。



2 法人の解散

自然人の死亡に相当するのが、法人の解散である。ただし、解散によって直ちに法人格を喪失するのではなく、財産の清算が終わるまでは、 目的の範囲内において法人格は存続する


2-1 法人の解散事由

●定款・寄附行為に定めた解散事由の発生(68条1項1号)
客観的に解散事由が発生すると、総会の決議がなくても法人は解散する

●法人の目的事業の成功または成功の不能(68条1項2号)
事業の成功とは、定款所定の目的を完了すること。「成功の不能」とは、定款所定の目的を完了しないことで不成功ではない。 目的を変更することで、解散を免れることはできない。

破産手続開始の決定(68条1項3号)
法人の破産とは、債務超過を意味し、裁判所の破産宣告によって、法人は解散する。

●設立許可の取消(68条1項4号)
裁判所ではなく、主務官庁の監督のもと行う。この取消の効果は将来に向かって効力を生じ、解散と同じ処理である。


※以下の二つは、社団法人のみの解散事由である。

●総会の決議(68条2項1号)
定款に別段の定めとは、定数の変更ができるということであり、総会以外の機関に、解散の決定を委ねる変更はできない。

社員の欠乏(68条2項2号)
社員は一人でもいれば、解散事由とはならない。
参考の条文【破産手続開始の決定】
【70条1項】 法人がその債務につきその財産をもって完済することができなくなった場合には、裁判所は、 理事若しくは債権者の申立てにより又は職権で、破産手続開始の決定をする。
【2項】 前項に規定する場合は、理事は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

参考の条文【設立許可の取消し】
【71条】 法人が目的以外の事業をし、又は設立許可の条件や主務官庁の監督上の命令に違反し、 その他公益を害すべき行為をした場合で、他の方法により監督の目的を達することができないときは、主務官庁は、 その許可を取消すことができる。正当な事由なく引き続き三年以上事業をしないときも、同様とする。

参考の条文【総会の決議】
【69条】 社団法人は、総社員の4分の3以上の賛成がなければ、解散の決議をすることができない。 ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。


2-2 法人の解散手続

法人の解散・清算は、裁判所の監督のもと、清算法人が行う。 破産による解散でなければ、原則、理事が清算人となり、清算の目的の範囲内において78条の行為をする権限をもつ。

残余財産の帰属順位は以下のとおりである。
@定款・寄付行為で指定した人
A理事が、主務官庁の許可を得て、その法人の目的に類似する目的のために処分。 社団法人の場合は、社員総会の決議も得る必要がある
B国庫

清算人は、清算が結了したときは、これを主務官庁に届出ることを要する。
  法人格は、清算の結了によって消滅する。届出は報告的なものにすぎない。


民法総則のメニューに戻る |  トップページをここに表示


inserted by FC2 system