1.法人総論

1 法人とは

自然人以外のもので、法律上の権利義務の主体とされているものを法人という。
一定の要件のもとで、法人格が付与された人や財産の集まりは、自然人と同じように、権利や義務の主体となりうる。

法人格否認の法理
法人であっても、実質的には個人企業にすぎないものについて、取引の相手方の保護のために、 法人格を否認して、その背後の個人の責任を追及する法理。

【最版昭44.2,27】 法人格が全くの形骸にすぎない場合、またはそれが法律の適用を回避するために濫用されるような場合には、 法人格を認める本来の目的に照らして許すべきものでないとして、法人格を否認すべきである。


1-1 法人の本質

法人擬制説
法人は、自然人になぞらえて、便宜的に権利義務の主体となったにすぎないとする説。法人自体の行為を否定する。

法人否認説
法人には実体がなく、その背後にある構成員や財産に着目すべきだとする説。法人自体の行為を否定する点で、擬制説と同じである

法人実在説
法人は、自然人と同じく、社会的活動をする実体を有するとする説。法人自体の行為を肯定する。


1-2 法人設立の諸主義

法人は、法律で定められた手続によらなければ、設立できない(法人法定主義・33条)。 法人設立の基本的な考え方は、以下の5つの主義がある。

特許主義日本銀行のように、特別の法律により設立が認められる特殊な法人。
強制主義弁護士会のように、公益上、国が設立や法人への介入を強制する法人
許可主義民法上の公益法人のように、主務官庁などの自由裁量により設立が認められる法人
認可主義宗教法人のように、法律の定める要件を具備し、主務官庁の許可をうけることで設立される法人
準則主義会社法の株式会社のように、法律の定める要件を満たして登記をすることで設立される法人


法人の種類

公益法人と営利法人(中間法人)
公益法人とは、「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないもの(34条)」である。 (日本医師会など)。 営利法人とは、営利事業を目的とする法人。会社法の会社が典型例である

私法人と公法人
私法人とは、民法や会社法などの、私法上の法人 公法人とは、国や公共の事務の遂行のために、公法に基づいて成立する法人
社団法人と財団法人
人の集合体のことを、社団法人といい、財産の集合体のことを、財団法人という

内国法人と外国法人
内国法人とは、日本法に準拠して設立された法人であり、外国法人とは、外国法に準拠して設立された法人である。 (外国法人については36条)

33条(法人の成立)
法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。











34条(公益法人の設立)
学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、 主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。


36条(外国法人)
外国法人は、国、国の行政区画及び商事会社を除き、その成立を認許しない。 ただし、法律又は条約の規定により認許された外国法人は、この限りでない。
前項の規定により認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。 ただし、外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の規定がある権利については、この限りでない。


2 公益法人の設立

民法が規定するのは公益法人(社団法人と財団法人)についてのみである。


2-1 社団法人の設立

@社団に法人格を取得させようとする意思表示

A定款の作成
定款とは、その社団の根本原則を示したものである。
定款には、37条の事項を必ず記載しなければならない。記載を欠いた定款は無効である。
その他の任意的記載事項も、定款に記載すると、同じ効力をもつ。
定款作成後も、総社員4分の3以上の同意と主務官庁の許可によって、変更できる(38条)

B主務官庁の許可
主務官庁が許可することにより、社団法人は成立し、法人格(権利能力)を取得する。登記は対抗要件にすぎない。
登記は対抗要件にすぎないというのは、登記をしないと、不利益を受ける意味であって、成立の必要条件ではないということ

認可主義の場合は、要件を具備していれば設立は必ず許可される。許可主義は 主務官庁の裁量による許可なので、認可主義の方が設立が自由といえる。









37条(定款)
社団法人を設立しようとする者は、定款を作成し、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 @ 目的
 A 名称
 B 事務所の所在地
 C 資産に関する規定
 D 理事の任免に関する規定
 E 社員の資格の得喪に関する規定

主務官庁の許可基準
「公益法人の設立を許可するかどうかは、主務官庁の広汎な裁量に任されており、 主務官庁の判断は、事実上の基礎を欠いたり社会観念上いちじるしく妥当でないというように裁量権の範囲を超え、 またはその濫用があった場合に限って、違法となる」(最昭63.7.14)


2-2 財団法人の設立

@財産の拠出という意味の寄付行為
遺言でも、生前行為でもすることができる。生前行為でする場合は、贈与(549条〜)の規定を準用し、 遺言でする場合は、遺贈(960条〜)の規定を準用する(41条)。

寄附財産が法人に帰属する時期は、生前行為での場合は、 法人設立の許可があったとき、遺言での場合は、遺言の効力が生じたときである(42条)。

A団体の根本原則としての寄付行為の作成
寄付行為には、37条の事項のうち、@〜Dまでを必ず記載しなければならない(39条)。その他については、社団法人参照。
財団法人には、社員総会のような意思決定機関がないので、寄付行為の変更はありえない。

財団の設立者が、名称や事務所、理事任免の方法を定めないで死亡したときは、裁判所は、利害関係人または検察官の請求によって、 これを定める必要がある(40条)。

B主務官庁の許可
社団法人の設立参照

定款・寄附行為(補完可能事項)記載事項の比較



定款寄附行為補完
目的目的×
名称名称
事務所所在地事務所所在地
資産関連事項資産関連事項×
理事の任免理事の任免
社員関連事項


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