3.物

1 物とは

物権の権利の客体の中心は「物」である。この「物」についてみていく。

物とは、有体物のことをいう(85条)。有体物とは、気体・液体・固体を意味する。
物は、その性質や特徴など様々な要素に応じて以下のように分類される


2 物の分類

2-1 特定物と不特定物

ある個性を持った物で、同種の物がなく、他の給付をもって変えることができない物を特定物という。 これに対し、他の同種の物が多数ある物を不特定物という。(例;新車、新刊の書物)。
不特定物と特定物の違いは、後にみる債権の範囲で重要になる。


2-2 可分物と不可分物

金銭や土地のように、現物で分割することができる物を可分物といい、自動車のように分割が不可能な物を不可分物という。


2-3 不動産と動産

不動産;土地およびその定着物(86条)
土地の定着物のうち、独立しない定着物には樹木や取り外し困難な石垣・庭石など、独立した定着物には建物が、独立することのできる定着物 には立木がある。→詳しくは、物権を参照。

動産;不動産以外の物(86条)
無記名債権も動産とみなされる。

動産と不動産の違い
不動産
 
動  産
登記
対抗要件
引渡し
なし
公信力
あり
認められる
用益物権
認められない
先取特権/質権/抵当権
担保物権
先取特権/質権
抵当権は原則不可
国庫に帰属
無先占有
原始取得
用語 無記名債券とは、映画のチケットや商品券、乗車券のように、権利者の氏名等が証券に書かれず、 権利の成立・行使・存続が証券によって行われるもの














2-4 主物と従物

刀と鞘、建物と畳のように、一方が他方の効用を助ける物を従物、 助けられる物を主物という。従物は主物の処分に従う(87条)。
  処分とは、権利・義務を生じさせるすべての法律行為をいう

従物の要件
@継続的に主物の効用を助けるものであること
A場所的に主物に附属すると認められる程度の関係にあること
B主物と同一の所有者に帰属すること(この要件を不要とする説もある)
C独立した物であること


従たる権利
たとえば、借地上に建物があった場合で、建物が主物であれば、建物のために存在する「借地権」が従たる権利である。
この従たる権利には87条が類推適用され、主物の処分に従うことになる。


2-5 果実と元物(がんぶつ)

物から生じる経済的な収益を果実といい、果実を生じさせる物を元物という。 果実はさらに、以下の2つに分けられる。
天然果実 物の用法に従い収取する産出物(88条1項)。畑から収穫できる野菜や、乳牛からとれる牛乳、鉱山から採掘できる鉱物など。
★その元物から分離するときにこれを収取する権利を持つ(89条1項)
法定果実物の使用の対価として受けられる金銭その他の物(88条2項)。 賃料や、貸し金の利息など。
★収取する権利の存続期間日割りをもって取得する(89条2項)。


他にも、物の分け方はいろいろある。 ■代替物と不代替物
同じ他の物をもって代えて給付することができる物を代替物、そうでない物を不代替物という。
■消費物と非消費物
金銭や食料のように消費されうる物を消費物、土地や建物のように消費されえない物を非消費物という。
■融通物と非融通物
取引が禁止されていない物を融通物、禁止されている物を不融通物という。 不融通物には、公物や公共用物があります。
参考文献:『民法概論1民法総則第2版』 川井健/有斐閣




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